DVDで惑星ソラリスを見ました。
タルコフスキー監督の1972年の作品。
2001年宇宙の旅に並ぶ20世紀SFの代表作とされています。
しかし、2001年とはその内容、映像、訴えかける意味も大きく異なるように感じています。
タルコフスキー監督の他の作品でも感じましたが、映像は非常に静的で、ダイナミックな動きや物語の展開にも派手さはありません。しかしその映像から伝わってくる緊張感は尋常ではありませんでした。

2001年では人間の存在、進化、科学の未来を、宇宙の時間空間的な位置から訴えかけてくると感じたのとは対照的に、ソラリスでは私の内面に深く深く切り込んでくるような怖さを感じました。
生死、愛、信頼、羞恥、恐怖、悩み、罪。人の心とは、記憶とは、なんなのか? 
心の中をのぞき込まれるような一種異様な体験。
2001年もそうでしたが、見た後に爽快感はありませんでした。しかし、私の心、脳に今までに無かった新たな刺激が与えられたのは確かです。

DVDの解説にはソラリスの海を「想像を絶する独自の理性を持つ超知性体」としていますが、本編を見た私の印象はそれとは違うものでした。
あくまでも人間がそこにいて、人間としての知性、認知能力があって始めてソラリスの存在が意味を持つ。人間が知性を持ったからソラリスがそこにある。宇宙論における人間原理のような意味合いを感じました。全体としてDVDの解説と私の受けた印象はだいぶ違いました。

これからこの作品を御覧になろうとする方々へ。
是非ご自身の精神が安定しているときに見ることをお勧めします。

次は同じタルコフスキー監督の「ストーカー」をみたいと思っています。
こちらはDVDを買って10年以上前に一度見ましたがソラリス以上に・・なんと言っていいか?
見たらまた感想をアップします。