37~63京ベクレル(37万~63万テラベクレル)をわかりやすい数値に変換してみました。

NHKテレビや朝日新聞の記事などで、福島第一原発から放出された放射性物質の総量が37~63京ベクレルという発表がありましたが、この数値、感覚的にまったくわからないので、なんとか感覚的にわかりやすい数値にならないか試算してみました。
あくまでも試算で、元の37~63京ベクレルという数値がどのようにして算出されたかの情報もありませんし、多くの仮定をおいて計算したものなので、あくまでも参考程度として見てください。
仮定:
・ヨウ素131のみで50京ベクレル放出とする
・ヨウ素131の半減期は8日とする

ベクレルという単位は 放射性元素(原子)が1秒間に崩壊する個数なので、まず原子の個数を計算するところからはじめます。
ヨウ素131が1グラムあるとき原子の個数を計算します。
ヨウ素131が1グラムでは1/131=0.007634モル
1モルの原子個数は6.02掛ける10の23乗(アボガドロ数)なので、モル数にアボガドロ数を掛ければ原子の個数が出ます。
したがってヨウ素131の1グラムの原子個数は4.6掛ける10の21乗個となります。
(モルとかは化学の授業で出てきたはずですが、記憶の彼方? とりあえず進んでください)

ヨウ素131の半減期を8日とすると、8日で半分がなくなり(キセノン131に変化する)さらに8日経つとその半分になります。この変化を、横軸に経過日数、縦軸に残ったヨウ素131の原子個数をとると図1のようになります

図1

この図の縦軸を対数にすると図2のように直線になります。
(対数も記憶の彼方?)

図2

次に図2のグラフを近似式に当てはめると。
y=4.60E+21e^0.0866×4.60 掛ける10の21乗 掛ける eの(0.0866掛けるx)乗yはヨウ素131原子の個数、xは経過日数、eは自然対数という式になります。

ベクレルという単位は1秒間に崩壊する原子の個数なので経過時間ゼロ(1グラムすべてがヨウ素131)から1秒後までに崩壊する原子の数を求めます。
これは上の式のxにゼロを入れた計算結果から、1秒(1割る24時間割る60分割る60秒=0.00001157日)後の個数を引いて求めます。

こうして求めた値は4.61掛ける10の15乗(ベクレル)となります。
これは0.461京ベクレルです。

すなわち1グラムのヨウ素131は0.461京ベクレル(1秒間に0.461京個の原子が崩壊して放射線を出す)
この数値から50京ベクレルという数値を評価すると、0.461京の約100倍なので、
50京ベクレルは約100グラムのヨウ素131となります。

<<結果>>
ここで試算した結果からは、イメージ的に 50京ベクレルは 100グラムのヨウ素131に相当すると考えられそうです。このくらいの量のヨウ素131相当分の放射性物質がこれまでに出たということです。100グラムといっても、放射能は非常に強力ですので誤解のないように。


この数値はあくまでも上記仮定や考え方に基づいて試算したものなので、正しいかどうかは不明ですのでそのつもりでお願いします。
なお、同様に計算すると、上記100グラムのヨウ素131は約1年後には8660ベクレル(元のベクレル数の53兆分の一)になります。(注意:セシウムなど半減期の長い元素は減り方がずっと遅くなります)

考え方や数字に間違いなどがあればご指摘いただければと思います。
問い合わせのフォームをご利用ください。
なお、上記した計算はエクセルを使って簡単にできます。試してみたい方も問い合わせフォームからどうぞ。エクセルファイルを送ります。

*この計算結果は微分方程式から算出した、同じ仮定で計算した値とほぼ一致します。