原発はやめる以外に選択肢はない!!
放射性セシウム137の問題を考える。

今回の事故で放出されたセシウム137は、原子力災害対策本部の発表では1.5掛ける10の16乗ベクレルとされています。
また、下記のヨウ素のときと同じ要領でセシウム1グラムあたりの放射線量(ベクレル)を計算しますと、3.2掛ける10の12乗ベクレルとなります。
この二つの値から、今回放出された放射性セシウムの量は約4670グラムと推定されます。この量が多いと感ずるか、少ないと感ずるかは違いがあると思いますが、この5キロ弱の放射性セシウムが今、食品や土壌汚染として大きな問題となっているのです。
現在、原発の安全性の問題が大きくクローズアップされていますが、基本としておさえておかねばならないことは、放射性元素は、半減期と呼ばれる時間で(セシウム137の場合は30年)、もとの元素の半分が放射線を出して崩壊し、放射線の強さは半分になりますが、この「半減期」を変更する方法がないということです。
方法がないとは、今後どんなに技術検討が進んでもその方法が見つからないということなのです。これは確率だけで決まっていることで、物理化学的な作用でそれを変更することは不可能なのです。(*1)
そのために現在言われている「除染」とは、放射性セシウムを多く含む土壌などを集めて、他の場所に移動するだけなのです。即ち、生活するところから、隔離された場所に持ってゆくだけです。その時にできるだけ濃縮できれば隔離する場所が狭くてすむので、放射性セシウムだけを(高い濃度で)取り出す方法が検討されています。しかし、その代わりその廃棄物を集めた場所の放射線量は強くなってしまという問題もあります。

原発の議論で、「十分な科学的な検証をして・・・」という発言を多く聞きますが、原子力発電所を安全に運転する方法については、科学的な検証で向上が見込めますが、放射性廃棄物の処理については、上記の理由により、科学的な検証は無意味となります。
私も原子力発電所を安全に運転することは、十分な安全処置をとれば、実用上問題ないレベル(テロや戦争を除けば)まで向上させることは可能と思いますが、放射性廃棄物は処理(できてしまったものを減らすこと)が不可能なのです。これは意見ではなく、事実です!
我々の後の世代にできるだけ負の遺産を残さないためには、即刻原発を停止するしかないと思っています。そのために産業界や生活に大きな支障が出ようとも・・です。

そして今ある放射性廃棄物をいかに安全に処理するかに力を注ぐべきと考えます。放射性廃棄物を無害化するには何千年、何万年という時間が必要なのですから。

原子力資料情報室 HP情報によりますと、「電気出力100万kWの軽水炉を1年間運転すると、14京ベクレル(1.4掛ける10の17乗Bq)のセシウム137が生じる」とされています。これは今回放出された量の約10倍になります。(当然セシウム137以外の放射性元素もこれに加わります)そして運転をすれば必ず発生し、減らすことはできないのです。

*1:核反応によって放射性セシウム137を他の元素に核変換することは、可能ですが(半減期を変えるのではなく、元素自体を核反応で他の元素に変える)、通常より多くの放射性元素を生成してしまいます。